中国~江陰、常州、上海~ そしてLINEが使えなくなって・・・ (後篇)

常州から上海は浦東へと向かう車中で、何故だか使えなくなったLINE。

別にスマホの調子が悪いわけではなさそうなのに、プッシュ通知は来るもののLINE本体にはまったく接続できず・・・といった状況が、少なくとも今回の中国滞在時には続いたのでした。(カカオトークもダメでした・・・)

ご存じの通り、中国ではインターネット上の検閲が厳しく、SNS界の2大巨頭「twitter」と「facebook」が通常のネット環境から閲覧できないのはよく知られた話ですが、「すわ、LINEまでもが・・・」と、改めて近くて遠い中国を実感したのと同時に、これは(その意図があるかどうかはわからないけど結果的に)当局の意向をくんだ自国メディア保護につながっているのだなーと考えてみたりしたわけです。

ちなみに中国では、いわゆるアメリカ発祥のネットメディアに代わる、というかそっくりそのままコピーしたものを中国向けにカスタマイズしたサービスが展開されていて、twitterの代わりは「微博(weibo)」、facebookの代わりは「人人网(renrenwang)」、Googleの代わりには「百度(baidu)」といった具合に、いずれも自国製メディアが圧倒的シェアを誇っていて、LINEと同じメッセンジャーアプリの領域では、インスタントメッセンジャーで圧倒的なシェアのQQを運営するテンセントの「微信(WeChat)」が圧倒的に支持されていたりします。

7月17日に帰国して、数日ぶりにfacebookを開いてみると、中国に駐在するメディア関係の知人が「LINEが使えない・・・」といった内容の投稿をしていました。また、ネット上をみる限りでは、8月に入っても尚、LINEとカカオトークが遮断あるいは接続不安定との情報が飛び交っています。
【参考】中国当局がLINE、カカオトークの遮断認める、韓国政府にテロ対策と説明(Record China)

LINEのスタンプキャラクターは中国でも人気があるようで、街中で売られている台湾製と思しきLINEグッズを結構見かけました。

それなのに・・・。

当局の意向を汲まない海外メディアが相次いで規制されていくのは、やはりあまり健全ではないはずで、恐らくは中国の人たちの中にも私と同じように感じている人たちは多いはずなのに、それでも尚検閲国家であり続けるGDP世界第二位のこの大国は、この先いったいどんな方向に進んでいくのだろうか・・・と、LINEが使えなくなった上海で「毎月日本に行ったときにはコシヒカリを買って帰る」と話した浦東の大富豪や、破格の条件を提示して「ここに会社を作りなさい」といった江陰開発区の朋友たちの顔を思い浮かべながら、またまた出口の見えないトンネル的命題に頭を悩ませるのでした。

ま、自分の三か月先の見通しさえ立たない人間に答えが出せるはずもないのですが・・・。

プロフィール

  • 1970年名古屋市生まれ
  • 早稲田大学法学部卒業
  • 株式会社 岩手朝日テレビ
  • ヤフー株式会社 を経て
  • 2003年 有限会社エヌ・プランニング 設立
  • 2005年 株式会社ミルゲート 設立
  • 2012年 株式会社愛知アジア総合研究所 設立