中国人観光客の購買力

久々の投稿です。

「長く書き過ぎるから後が続かないんじゃないの?」っていうスタッフからの指摘を真摯に受け止めて、今回からは手短に。

尖閣問題以来、団体客が減ったとかいろいろといわれている訪日中国人観光客ですが、ここのところ回復の兆し、というか、爆発的に増加してきていて、ここ名古屋でも最早百貨店や量販店にとっては無視することのできない存在になってきています。

中国人観光客を大別すると、

・あまりお金を持ってはいないが大群で押し寄せる「団体客」

・数名のグループで動くお金持ちの「個人旅行客(FIT)」


ということになりますが、どちらの観光客も最近は日本で「爆買い」しています。

訪日中国人観光客増加の背景には、もちろんビザ発給要件の緩和に代表される政府の誘致施策も影響しているとは思いますが、爆買いには、

・日本品質への信頼感

・加速する円安


が大きな要因となっています。

中国の大都市に行ったことのある方はご存じだと思いますが、例えば上海あたりでは石を投げればハイブランドのショップに当たる・・・というぐらい、街中にハイブランドのショップが溢れかえっています。名古屋とは比べものにならない店舗数です。

にもかかわらず、わざわざ日本に来てブランド品を買うのは、彼らが同じブランド品でも日本の店舗で買った方が信頼がおけると考えているからであり、そしてそれを円安が後押ししているという現状があります。

実際、弊社がプロモーションのお手伝いをさせていただいている百貨店さんでも、ここ数カ月は前年比200%とか300%とかの勢いで免税売り上げが伸びており、この正月には福袋の免税売り上げも好調でした。そして、それを支えているのは中国人旅行客です。

団体客と個人客(FIT)の消費傾向は若干違って、団体客は一生に一度の日本旅行(在日中国人談)だからここぞとばかりの爆買いを、お金を持っている個人旅行客(FIT)は何度も訪日し、その都度高額品を購入しているようです。

少々乱暴に言うならば、家電量販店やドラッグストアで爆買いしているのは一生に一度の団体客百貨店やブランドショップで高額商品を買うのは個人旅行客、といったところでしょうか。もちろん、団体客がブランド品を買ったり、個人旅行客がドラッグストアで爆買いすることだってあるとは思いますが・・・。

で、ここで気になるのが、いずれにしても中国人観光客の「爆買い」を後押ししているのが円安だということです。

実際、ここ数年の日本円に対する元の高騰(=円安)はすさまじいものがあります。

弊社が本格的に中国向けプロモーションを開始した2010年ごろには1元12円~13円程度で推移していた人民元が、今では19円近く(2015年1月現在)を行ったり来たりしています。5年前の約1.5倍です。

ということは、今後の為替の動きによっては、中国人観光客の爆買いが減速する可能性も多分にあるわけですから、インバウンド関連に携わっている企業は、中国以外の国からの観光客もの視野に入れたうえでの長期的なビジョンを持つ必要があると思います。

昨年末にKOTRAが主催するFIWに参加するためにソウルへ出かけてきましたが、会場となったロッテワールドは中国人観光客で溢れかえっており、日本人観光客を殆ど目にしませんでした。

数年前までの韓流ブームでこぞってソウルを訪問していた日本人客が減ったのは、両国間の政治的問題だけではなく、円安も大きく影響していると思います。

為替の影響を最小限に食い止められるような取り組みが、今後のインバウンド施策を考えるうえで最も重要なことの一つだと思うわけです。

とはいえ、まずは2月18日からの中国の春節休暇!一体どれぐらいの爆買いぶりが見られるものやら、乞うご期待ってとこですね。



常州から上海は浦東へと向かう車中で、何故だか使えなくなったLINE。

別にスマホの調子が悪いわけではなさそうなのに、プッシュ通知は来るもののLINE本体にはまったく接続できず・・・といった状況が、少なくとも今回の中国滞在時には続いたのでした。(カカオトークもダメでした・・・)

ご存じの通り、中国ではインターネット上の検閲が厳しく、SNS界の2大巨頭「twitter」と「facebook」が通常のネット環境から閲覧できないのはよく知られた話ですが、「すわ、LINEまでもが・・・」と、改めて近くて遠い中国を実感したのと同時に、これは(その意図があるかどうかはわからないけど結果的に)当局の意向をくんだ自国メディア保護につながっているのだなーと考えてみたりしたわけです。

ちなみに中国では、いわゆるアメリカ発祥のネットメディアに代わる、というかそっくりそのままコピーしたものを中国向けにカスタマイズしたサービスが展開されていて、twitterの代わりは「微博(weibo)」、facebookの代わりは「人人网(renrenwang)」、Googleの代わりには「百度(baidu)」といった具合に、いずれも自国製メディアが圧倒的シェアを誇っていて、LINEと同じメッセンジャーアプリの領域では、インスタントメッセンジャーで圧倒的なシェアのQQを運営するテンセントの「微信(WeChat)」が圧倒的に支持されていたりします。

7月17日に帰国して、数日ぶりにfacebookを開いてみると、中国に駐在するメディア関係の知人が「LINEが使えない・・・」といった内容の投稿をしていました。また、ネット上をみる限りでは、8月に入っても尚、LINEとカカオトークが遮断あるいは接続不安定との情報が飛び交っています。
【参考】中国当局がLINE、カカオトークの遮断認める、韓国政府にテロ対策と説明(Record China)

LINEのスタンプキャラクターは中国でも人気があるようで、街中で売られている台湾製と思しきLINEグッズを結構見かけました。

それなのに・・・。

当局の意向を汲まない海外メディアが相次いで規制されていくのは、やはりあまり健全ではないはずで、恐らくは中国の人たちの中にも私と同じように感じている人たちは多いはずなのに、それでも尚検閲国家であり続けるGDP世界第二位のこの大国は、この先いったいどんな方向に進んでいくのだろうか・・・と、LINEが使えなくなった上海で「毎月日本に行ったときにはコシヒカリを買って帰る」と話した浦東の大富豪や、破格の条件を提示して「ここに会社を作りなさい」といった江陰開発区の朋友たちの顔を思い浮かべながら、またまた出口の見えないトンネル的命題に頭を悩ませるのでした。

ま、自分の三か月先の見通しさえ立たない人間に答えが出せるはずもないのですが・・・。



本当に久しぶりの更新です。

今日からは、ここ1年程度の記憶を辿りながら、そして新たに触れたこともサボらずにマメにアップしていきます。多分。

さて、7月の半ばに、久しぶりに大陸へ出向いてまいりました。

日曜の朝にセントレアを出発して、浦東から初の江蘇省無錫市江陰市へ、そこで2泊していつもの常州市へ、で、いつもの常州市には泊まらず上海へ向かって浦東で2泊。

いつもより1泊多い大陸出張でした。


出発当日、朝4時に起きてパッキングして慌てて空港にむかったのに、8:50発予定のMUが搭乗機未着で3時間遅れとのこと。前日から分かってるんなら電話の一本でもくれよーなんて思ってたら、結局7時間遅れ。

まー、こちらとしてはPCに向かって仕事する時間ができて結果オーライなわけですが、気の毒なのは休日出勤して浦東に迎えに来てくれていた江陰の開発区のスタッフで、早朝に江陰を出発して10時過ぎから夕方までずーっと空港で待ちぼうけだったというのですから、別にこちらは悪くもないのに浦東で彼らに会うなり「ごめんね」と典型的な日本人よろしく詫びてしまったのでした。


浦東から江陰へは車で4時間ほど。正確には江蘇省無錫市江陰市といって、いつもの常州市の隣なのですが、常州市が江蘇省のすぐ下の「地級市」なのに対して江陰市は無錫市という「地級市」のひとつ下の行政単位にあたる「県級市」。ちょっと日本人には馴染みにくいのですが、要は中国では省>市>県といった行政単位になっていて、規模感的には江蘇省を例にとってみると、人口7,800万人強の江蘇省が日本でいうところの「国」だとすると、人口500万人弱の無錫市や400万人強の常州市といった地級市は「県」、そして人口120万人弱の県級市である江陰市は日本の「市」に相当するといったところでしょうか。

じゃあ中国は何なんだ!!ということになるかと思うんですが、何なんでしょうか?中国とは・・・。
まぁ、所詮付き合いだして数年程度のボンクラには答えられるはずもないので、これはもう一生かけて答えが見つかればよいかなー、と。


で、話は江陰市に戻るのですが、今回は江陰臨港経済開発区という開発区からの招待で日本企業の提携先探しと開発区の視察に出かけたのですが、一定の成果があったといえばあったことになるのでしょうか。破格の条件を用意するから日本との窓口になる会社を作りなさい!と口説かれてきました。

まっ、世の中にそんなに上手い話はないことぐらい分かってはいるつもりですが・・・。

いずれにしても江陰市は揚子江(臨港の「港」とは揚子江のこと)を臨む中国でも屈指の裕福な県級市で、政治レベルでの日中関係の悪化が解消される兆しも見えない中にあって、開発区としては日本との関係を保つのに必死にならざるを得ない・・・といった現状を垣間見たような気がしたのでした。


写真 1.JPGのサムネール画像開発区の玄関口で迎えてくれた大型ディスプレイ。中国の開発区や工場ではよくお目にかかるのだが、敬語の使い方が少しおしい感じだ。  


写真 3.JPGのサムネール画像開発区に隣接する港。港といっても海ではなく巨大な揚子江。はるか向こうの対岸は、曇り空のせいもあってか霞んでいる。


写真.JPG開発区を紹介する巨大な展示室。ちょっと分かりにくいが、左端のコンパニオン風の女性が案内してくれた。
              

というわけで、江陰の皆さんから歓待されつつ、そして例のごとく大酒も浴びつつ江陰での2日間を過ごして、車でわずか40分程度の常州へ向かったのですが、江陰にせよ常州にせよ相当に経済が発達した地域なので、「進出」といった意味では余程具体的なメリットがない限り今更感が否めないのですが、市場としてとらえた場合は大いにありだな~と思ったのでした。

「環境」「人材」「管理」「福祉」あたりが、このあたりの地域をマーケットとして捉えた場合の重要なキーワードになるような気がしています。

心当たりのある方は、ぜひご相談ください。


と、そんなこんな考えながら上海に向かう車中で、浦東のホテルで落ち合うことになっていた先輩にLINEで連絡を取ろうとしたら、LINEが立ち上がらない!

何かスマホに問題があるのかな~なんて考えていたら、どうもそういうわけではなかったようで・・・・。

で、この続きはいつになるか分からない後編で!



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プロフィール

  • 1970年名古屋市生まれ
  • 早稲田大学法学部卒業
  • 株式会社 岩手朝日テレビ
  • ヤフー株式会社 を経て
  • 2003年 有限会社エヌ・プランニング 設立
  • 2005年 株式会社ミルゲート 設立
  • 2012年 株式会社愛知アジア総合研究所 設立