先週訪問したタイのことを、数回に分けて綴っていきます。
 
今回の訪タイの目的は、インターネット関連の企業訪問と日系工場の視察でした。
 
2年ぶりに訪れた夕暮れのバンコクは、蒸し暑さの中にフルーツのような香辛料のような独特の香りが立ち込め、屋台と渋滞とクラクションの間を人が行き交う、そんな相変わらずの熱気にあふれていました。
 
そんな中、少し以前と違った印象を受けたのが、すれ違うクルマの新しさでした。
 
以前は日本ではあまりお目にかからないようなボロボロのクルマをちらほらと見かけたのですが、今回渋滞の道路を埋め尽くしていたクルマは、殆どが日本と変わらずキレイで新しい。
いや、むしろ日本より新車の数が多いような印象でした。
 
何でも昨年9月から、クルマを始めて購入する国民に対し、1500cc以下のクルマの購入に限って自動車物品税を最大10万バーツまで還元するという減税措置が開始され、どうやらその影響もあって、クルマが売れている様子。
トヨタ、ホンダ、三菱などの日本車もかなりの数が走っていました。
 

とはいえ、ただでさえ渋滞の多いバンコクのこと。
タクシーの運転手は「こんなに渋滞が多いのに、もっと増やしてどうすんだ!」と怒っていましたが・・・。
 
私のバンコク滞在中に「トヨタ・モーター・タイランド設立50周年式典」が開かれ、その中で豊田章男社長が「近い将来、タイでの生産能力を年100万台にまで引き上げたい」(現在は67万台)と話したそうですが、いずれにせよ、昨年の洪水の影響を殆ど感じさせることもなく、タイの自動車産業は随分好調なようです。

それにともなって、当然ですがタイのインターネットメディアにも日本車の広告がかなりの頻度で掲載されています。

というわけで、次回はタイのインターネットおよびインターネット広告事情、タイの国家機関からスピンアウトしたインターネットレイティング調査会社のことを綴っていきたいと思います。



ミルゲートが運用する中国版twitter「新浪微博」のアカウント「畅游日本名古屋」のフォロワーが1万人を超えました。「畅游日本名古屋」とは、「日本の名古屋を思う存分楽しむ」といった程度の和訳になるでしょうか。その名の通り、弊社の中国人従業員が、名古屋とその周辺の観光や生活情報を日々発信しています。


約1年半前の2011年5月から運用しているこのアカウントは、当初は弊社が中国からのインバウンド観光客をターゲットに運営を始めた同名のポータルサイト「畅游日本名古屋」(PCサイト)への誘導手段程度のつもりで開設したのですが、当初の目論見は見事に外れ、Webサイトへの誘導はあまり増えず、微博のアカウント自体が独立して成長していった結果、今月に入って1万人にまでフォロワーを増やすことができました。

ご存知のように中国では当局によるネット検閲が行われており、Twitter、facebook、YouTubeなどのSNSは一般的には利用できません。そこで中国独自のSNSが発展したわけですが、新浪社が運営する微博(マイクロブログ)は特に人気が高く、ユーザー数は3億人を突破していると言われています。


その新浪微博の中で「畅游日本名古屋」を運用してみて分かったのは、
この手のSNSはSNSの中で完結する傾向にある、
ということです。

もちろんポータルサイト「畅游日本名古屋」へのトラフィックが全くないわけではないのですが、ある程度サイトにアクセスせざるを得ない仕組みを作らない限り、そうそうトラフィックが期待できるものではありません。


むしろ微博上でのコミュニケーションの活発さが際立っていて、この1年半の間に名古屋への旅行を検討している一般のユーザーだけでなく、中国の旅行会社やメディア関係者などとの出会いも数多く体験しました。

スマホなどのモバイルユーザーが多いということも、PCサイトへのトラフィックが少ない理由の一つかもしれません。

そのあたりのところは、機会を改めて詳しくお伝えしたいと思います。新浪微博にはユーザーの属性解析機能などもあって、結構興味深いデータが取得できたりしますので・・・。

で、本題の“新浪微博のユーザーが1万人を超えて考えたこと”についてですが、

いくつかのポイントさえ押さえてさえおけば、
中国向けプロモーションはそんなにハードルが高くない!

と、ちょっと楽観的に考えてみたりしたのです。
 

実は新浪微博「畅游日本名古屋」には、これまで2度の危機が訪れています。

1度目は今年の2月から3月にかけて、河村市長の南京大虐殺発言直後から数週間のこと。この時は名古屋市が運用するアカウントと捉えられたことも相まって、凄まじい勢いで非難のコメントが寄せられ、半ば炎上状態。しばらく更新をストップせざるを得ない状況に追い込まれました。

そして2度目が、今回の尖閣問題が深刻化した9月半ば以降のこと。ただ、今回は河村市長の発言当時ほど、大きな影響を受けていません。我々サイドはかなり神経を尖らせて運用にあたったのですが、非難のコメントは殆どなく、むしろ「誰もが和平を望んでいる」といった良識的なコメントが多く寄せられています。

では、中国プロモーションの実施にあたって押さえておくべきポイントは何かというと、
私は

1.中国人の好みを理解すること

2.中国人の面子に対する考えを理解すること

3.中国人との間で触れてはいけない話題を理解しておくこと

4.政治の問題が起こってしまったら、ほとぼりが冷めるのを待つしか方法が無い場合が大いにあるということを予め認識しておくこと

の4点だと考えます。


1の「好みへの理解」はプロモーションの効果をあげるのに役立ちますが、2の「面子に対する理解」は効果UPとリスク回避の両側面に役立ちます。3の「触れてはいけないことへの理解」は、完全にリスク回避的な側面です。※参考:「超楽しい!」とつぶやいた蒼井そらの「微博」が大炎上―なぜ起きた?

4の「政治の問題」については・・・・・、今のところ一番重要なところかもしれません。つまり、政治の問題が起こった場合に何の対処もできなくなる可能性がある、ということをしっかり認識した上で、中国へのプロモーションを考える必要があると思うのです。

リスクを覚悟した上で、中国人のことをよく理解した人間(中国人を含む)がスタッフに加わってプロモーションを実施すれば、中国プロモーションというものは割とシンプルに考えても良いのではないかな、などと私は考えていたりします。

それがつまりは「中国は難しい」ということなのだよ!と、言われてしまいそうな気もしますが・・・。

ちなみに、Twitterで日本で一番フォローされていると言われる孫正義さんのフォロワー数は1,781,702人、新浪微博上の日本人で最もフォローされている蒼井そらさんのフォロワー数は孫さんの10倍近い13,497,086人。※いずれも2012年11月6日現在)

日本の人口は約1億3千万、中国の人口はその10倍の13億4千万人以上。

蒼井そらさんとは比べようもありませんが、東京でも北海道でもなく、それほど中国では人気があるわけでもない名古屋の情報を発信しているアカウントが、政治問題が緊迫化している中でさえ多くの中国本土の親日ユーザーに支えられ、尚も1万人のフォロワーをキープできるような、そんな巨大な市場中国。

リスクの分散化は重要ですし、ミルゲートとしてもポスト中国へのプロモーションに関しては積極的に支援をさせていただきます。

でも、この巨大市場を捨ててしまうのは、少しもったいなくは無いですか?
そもそもリスクの無い海外進出などあり得ないのですから・・・。

蛇足になりますが、11月8日から中国では最も大きな政治イベント「第18回中国共産党大会」が開催され、胡錦濤国家主席に代わって習近平国家副主席が国家主席に任命されると言われています。

習近平について書かれた本は色々ありますが、「習近平って何者?」「国家主席はどうやって選ばれるの?」という方に、「習近平の正体」(著)茅沢勤を入門編としておススメします。


中国が良いとか悪いとかではなく、国家のトップになることの重みというかなんというか、そのあたりがトップの存在が限りなく軽い日本とは大きく違うということがお分かり頂けるのではないでしょうか。



ブログのタイトルに(仮)などと入れてしまいましたが、いずれ適当なものを思いついたときに正式なタイトルに差し替えるとして、兎にも角にもちょっと慌ててブログを始めてみました。追々レイアウトの方も手を加えて行く予定です。私たちの会社「ミルゲート」は、Web領域のプロモーションを主軸業務としている会社なので、そのあたりのところは恥ずかしくないような体裁を整えていなければなりませんので・・・。



慌ててブログを始めたのには、2つの理由があります。



1つ目は、私たちミルゲートの業務がここ2~3年で大きく変化し、そして今現在も常に変化を続けているため、社外の皆さんに対してその業務内容を日々発信していく必要が出てきたこと。


2003年の創業から数年間は、私がかつてお世話になっていたYahoo! JAPANをはじめ、大学や求人系のポータルサイトなどのクライアントから受託するWebサイトの制作をメイン業務とするWeb制作会社でした。

その後、広告代理店と制作会社の中間のようなスタンスで、地元名古屋のクライアントを中心に広告周りのことは謂わば「何でもやる」会社として数年を過ごし、3年ほど前からは中国人社員の採用をきかっけに、他言語Webサイトの制作からインターネット広告、雑誌を中心としたオフライン広告、さらには店舗ディスプレイまで、製造業、不動産、金融、アパレル、語学学校、観光施設など、中国語圏への進出や中国語圏から顧客獲得を目指すクライアントのプロモーションを様々な手法で支援してきました。

そして、その過程で蓄積した百度、Yahoo!奇摩、Yahoo!香港、各国のGoogleなどの広告運用や、新浪微博、facebookなどのSNSにおける運用のノウハウをもとに、現在はタイ、インドネシア、ベトナム、マレーシア、フィリピン、インド、シンガポール等、東南アジア諸国におけるインターネット広告の取り扱いを開始しています。

このように業務内容が変化しているミルゲートの現状を、私がブログという手段を使って都度ご報告していくことで、皆さんにミルゲートの現在を知っていただきたいと考えたのがブログを始めた1つ目の理由です。



2つ目は、ミルゲートの業務の裾野が急速に広がってきたため、私たちを必要としているクライアントとの新たな出会いの場をつくりたかったこと。

今更ブログですか・・・と、同業者の皆さんには鼻で笑われてしまいそうですが、ミルゲートがこれまでの中国や香港、台湾だけでなく、それ以外のアジア諸国へのプロモーション支援という少々ニッチなマーケットへの切り込みを進めて行く中で、ロングテールを意識した情報発信の場として、ブログというメディアは最も有効な手段の1つだと考えたわけです。それ以外に、私自身の文章が長い!ということもブログを選んだ理由だったりもするわけですが・・・。

社内リソースとしては、中国語ネイティブが2名(うち1名は英語もネイティブレベル)と英語ネイティブレベル1名の計3名が、日々アジア各国のインターネット情報をリサーチし、同時に各国のインターネット媒体、インターネット調査会社、行政機関、研究機関等とコンタクトをとり、アジア諸国のインターネット周辺に関するデータと取扱いノウハウを集積しています。また、翻訳会社との提携により、中国語、英語以外の言語でのプロモーションにも迅速に対応できる体制を確立しています。

これらの情報やノウハウを、我々を必要としている未だお会いしていない皆さんに対して紹介していくことが、2つ目の理由というわけです。



ミルゲートの業務は、既にWeb領域を主軸としたアジア諸国へのプロモーション支援へと大きく舵を取っていますが、もちろんこれまでお付き合いをいただいているクライアントの皆さんを中心に、日本国内のマーケットへのプロモーション支援にも引き続き力を入れていきます。国内プロモーションにおいて競合他社に引けをとらないパフォーマンスを発揮できる基礎体力が無ければ、クライアントに納得していただける海外向けプロモーションなどできるわけがないと考えていますし、海外のマーケットを意識することで、これまでお付き合いいただいているクライアントの皆さんにもより幅の広い視点での提案が可能になると考えています。



最後に、このブログの内容についてですが、当面は「アジア諸国」および「インターネット」に絞って展開していきたいと考えています。といっても、それはそれでかなり守備範囲の広い話ではありますが・・・。


未だ見ぬ皆さんとの出会いを期待しつつ・・・。



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プロフィール

  • 1970年名古屋市生まれ
  • 早稲田大学法学部卒業
  • 株式会社 岩手朝日テレビ
  • ヤフー株式会社 を経て
  • 2003年 有限会社エヌ・プランニング 設立
  • 2005年 株式会社ミルゲート 設立
  • 2012年 株式会社愛知アジア総合研究所 設立